高齢者の“転ばない”習慣─骨折・急速な状態悪化から身を守る

転倒が高齢者にもたらす深刻な影響
高齢者が一度転倒して足を骨折すると、その後の生活に大きな影響が出ることは少なくありません。特に大腿骨を折ると、入院や手術、長期のリハビリが必要になり、寝たきり状態になるリスクも高まります。
実際、80代の高齢者が大腿骨を骨折した場合、**1年後の死亡率は20~30%**にものぼるとされており、転倒は命に関わる深刻な問題です。
私自身、家族が転倒して骨折した経験を通じて、「転ばないための対策こそが、健康寿命を延ばすカギ」であることを痛感しています。
私が利用している「すべりにくい靴」
私が日常的に利用しているのは、すべりにくい靴です。靴底には滑り止め加工がされており、雨の日や濡れた路面でも安心して歩ける設計です。また、かかとがしっかりと覆われていて、足を固定しやすく、歩行が安定します。
このような靴を選ぶことで、転倒のリスクを日常的に大きく減らすことができます。特別な機能を持つ高価な靴ではなく、市販の「高齢者向け すべりにくい靴」として販売されているもので十分です。
転倒リスクのチェックと原因分析
まずは、ご自身や家族の転倒リスクをチェックしてみましょう。以下の項目に当てはまるものがある場合、注意が必要です。
- 歩くスピードが遅くなった
- 段差でつまずくことが増えた
- 杖や手すりが必要と感じる
- めまいやふらつきを感じる
- 視力や聴力が衰えてきた
これらの要素が重なることで、転倒の危険性は高まります。
簡単にできる「転倒予防体操」
転倒予防には、下半身の筋力とバランス感覚を維持することが大切です。自宅で無理なくできる体操を1日5分取り入れてみましょう。
かかと上げ体操
- 椅子に座り、かかとをゆっくり持ち上げて3秒キープ
- ゆっくり下ろす
- 10回を目安に毎日実施
つま先上げ体操
- 同じく椅子に座り、つま先を上げて3秒キープ
- 下ろして10回繰り返す
この2つだけでも、ふくらはぎやすねの筋力が鍛えられ、歩行の安定につながります。
家の中の「転倒しやすい場所」と対策
高齢者の転倒事故は、家の中で最も多く発生しています。特に以下の場所は要注意です。
場所 | 危険要因 | 対策 |
---|---|---|
玄関 | 段差、靴の散乱 | スロープ、整理整頓 |
廊下・階段 | 暗い、手すりがない | LED照明設置、両側に手すり |
浴室 | 濡れて滑る床 | 吸着マット、入浴用イス |
環境を少し整えるだけで、大きな転倒予防につながります。
すべりにくい靴の選び方とおすすめ機能
すべりにくい靴は、高齢者の転倒予防に非常に効果的です。選ぶ際のポイントは以下の通りです:
- 靴底に滑り止め加工があること
- かかとがしっかりと固定されていること
- 靴の重さが軽いこと(重すぎるとつまずきやすくなる)
- マジックテープなどで着脱しやすいもの
また、屋外での歩行に不安がある場合は、歩行補助具(シルバーカーや杖)との併用もおすすめです。
万が一転んでしまったときの対応とリハビリ
転倒して骨折してしまった場合は、すぐにリハビリを開始することが大切です。安静にしすぎると筋肉が衰え、回復が遅れる原因になります。
入院中でも可能なリハビリ体操や、退院後のデイサービスの利用を早めに検討しましょう。
転倒への恐怖心が招く負のスパイラル
一度転んでしまうと、「また転ぶかもしれない…」という恐怖心が芽生えます。その結果、外出を控えるようになり、筋力がさらに落ちて転びやすくなるという悪循環に。
このスパイラルを断ち切るためには、
- 簡単な体操で自信をつける
- 家族と一緒に外出する
- 見守りアプリやセンサーを活用する
といった取り組みが有効です。
家族や介護者との連携も大切
高齢者の転倒予防は、本人の努力だけでは不十分です。家族や介護者の協力があってこそ、転倒しにくい環境が整います。
- 家の中の段差を把握しておく
- 夜間の動線に照明を設置
- 外出時には付き添い・見守りを徹底
些細な工夫でも、転倒リスクを大きく下げることができます。
今日から実践できる「転ばない習慣」
最後に、今日から実践できる“転ばない習慣”を5つ紹介します。
- すべりにくい靴を履く
- 毎日の体操を習慣にする
- 家の危険箇所を点検して改善
- 転倒リスクを定期的に自己チェック
- 不安なときは、家族と一緒に行動する
転倒は、意識と準備で確実に予防できます。「まだ転んでいないから大丈夫」ではなく、「転ばないために何ができるか」を一緒に考えていきましょう。